沖縄の民泊開業の必要な手続きは「観光需要や競合を調査し、関連法令(消防法など)に適合したリフォームを実施。この時、必要資金を調達して旅行サイトから集客する」です。
沖縄で民泊開業する時の押さえておくべきポイントは以下のとおりです。
- 観光需要は拡大傾向、競合は約3,000件存在する※2024/11/04時点
- 宿泊単価は2,900円~330,000円/泊と幅広い
- 関連法令は消防法、建築基準法などが有り「消防設備」などの設置や改修が必要
- 必要資金の調達は 日本政策金融公庫」がオススメ
- 資金計画とランニングコストは沖縄の地域特性を加味する
また、民泊新法、旅館業法、特区民泊などの各業態によっても、宿泊可能な人数が異なるため、メリット・デメリットを理解して対応することが重要です。
それでは、沖縄民泊の市場動向から解説します。
沖縄民泊の参入状況
上記の画像は「airbnbに登録済み」施設を価格帯で分けたグラフです。作成条件は2名宿泊条件としました。結果、約60%の価格帯が一人10,000以下の施設となっています。
仮に180日の宿泊上限がある民泊新法で運営したと仮定すると、年間の収益は次の計算式です。
- 180日×20,000円=3,600,000円
上記の額から、airbnbなどの旅行サイトへの手数料および賃料、電気代、水道代などの経費が発生します。詳しくは「開業資金・ランニングコスト」の項目で説明します。
他にも以下の点が沖縄民泊の特徴であることが分かります。
- 総件数:3,569施設
- 最低価格:2,900円
- 最高価格:330,000円
狭い沖縄に約3,500件の施設があることは驚きの一言ですね。
価格帯はエリアや他施設を参考に設定を行い、付加価値を高めていく戦略が必要です。次に沖縄観光の市場動向をみてみましょう。
沖縄観光の市場動向
上記の画像より、沖縄観光は「非常に顕著に推移している」と言えます。
なぜなら、コロナ禍で失われた観光客が戻りつつあること。また、インバウンド需要と円安の影響で客単価が上昇傾向なのが理由です。
一方、冒頭にも示したとおり狭い沖縄に「約3,500件」の民泊施設が立ち並び、その他にもホテルや旅館なども競合と言えるでしょう。
観光客の動向には注意しつつ、集客のための戦略が「鍵」です。次の項目では民泊開業の法律「民泊新法や旅館業法」を解説します。
民泊業態(民泊新法、旅館業法、特区民泊)により、開業手順と宿泊日数の上限が異なる
簡易宿泊業(旅館業法) | 住宅宿泊事業法(民泊新法) | 特区民泊(国家戦略特別区域法) | |
定義 | 宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設 | 人の居住の用に供されていると認められる家屋において、旅館業法上の営業者以外の者が人を宿泊させる事業 | 外国人旅客の滞在に適した施設を賃貸借契約等に基づき一定期間使用させるとともに、滞在に必要な役務を提供する事業 |
根拠法 | 旅館業法 | 住宅宿泊事業法 | 国家戦略特別区域法 |
許認可等 | 許可 | 届出 | 認定 |
滞在及び営業日数 | 制限なし | 年間180日以内(条例で制限あり) | 2泊3日以上(条例で下限日数は異なる) |
宿泊者名簿 | 作成・保存義務あり | 作成・保存義務あり | 作成・保存義務あり |
玄関帳場 | なし | なし | なし |
最低床面積 | 3.3㎡/人 | 3.3㎡/人 | 原則25㎡以上/室 |
入浴設備 | 施設に必要(シャワー室のみ可) | ||
トイレ・洗面 | 必要 | 必要 | 必要 |
調理場 | 必置要件なし | 必要 | 必要 |
管理委託 | 規定なし | 家主不在型の場合は管理委託必要 | 家主居住型であって居室数が6以上、又は家主不在型の場合は管理委託必要 |
近隣住民への説明 | 実施が望ましい | 実施必要 | 実施が望ましい |
主な特徴 | ・従来の旅館業 | ・民泊新法に基づく民泊 | ・特区内の民泊 |
メリット | ・既存の施設を活用可能 | ・比較的自由な運営が可能 | ・外国人観光客誘致に貢献 |
デメリット | ・手続きが煩雑 | ・近隣住民とのトラブル発生の可能性 | ・特区内でのみ実施可能 |
民泊には大きく分けて、以下の3つの「法律」および各都道府県が制定する「条例」によって民泊の営業形態が大きく異なります。
詳しくは表を参考にしてください。
最も注目すべき点は「営業可能日数」です。民泊新法の場合は180日が上限に設定されています。
宿泊単価が高く設定可能なオンシーズンや年末年始に「180日制限」とならないよう、宿泊日数の管理が非常に重要です。
さらに、沖縄で民泊を開業する場合の注意点「条例」についても理解を深めていきましょう。
沖縄民泊開業時は「条例」にも注意する
画像より、特に注意すべき点は制限する「期間」と「場所」です。どの家でも民泊が実施できる訳ではなく、関連法規を理解した上で物件を取得することが大切です。
例えば、ペンションが立ち並ぶ西海岸沿いの「恩納村」でも学校の100m周囲は「民泊の営業」に制限がかかります。
具体的には、学校で授業が行われている期間。つまり、月曜〜金曜は原則、営業は不可となります。
このように、沖縄民泊は「条例」の知識を踏まえて、運用することが必要です。
民泊に関する法律の知識が整理できたところで、民泊の事業計画を作成していきましょう。
沖縄で民泊を開始する事業計画を作成する。
沖縄で民泊を開始するには、以下の手順を参考に事業内容を検討することが必要です。
- 地域選定
- 開業資金の概算設定
- 競合民泊の情報収集(適正価格、差別化)
- 営業日数および利益予測
- 物件取得
- 物件の寝具、アメニティー類の準備
- 予約サイトへの登録
上記の中でも、自社物件の選定が非常に重要です。先程も書いたとおり沖縄には「約3,500件」の民泊施設が存在します。
競合施設と比較されても「選ばれる宿泊施設」となるよう、マーケティングや施設の特徴を考えていくことが大切です。
次に最も大切といっても過言ではない、開業資金について検討してみましょう。
沖縄の特性を踏まえた開業資金・ランニングコスト
沖縄は亜熱帯性気候に属し、高温多湿の環境です。
湿気対策は必須といってもよく、クーラーを使用する期間も長いのが特徴です。
具体的な開業資金とランニングコストは以下を参照ください。
- 物件取得費(土地・建物の取得費およびリフォーム費用)
- 消防設備費
- 家具家電類
- アメニティー類
- 清掃関連物品の調達
- 行政機関への届出費用(委託申請する場合)
- 運転資金
各項目毎に検討物件の取得費とランニングコストを踏まえた資金調達を検討しましょう。
まとめ
本記事のポイントは以下のとおりです。
- 競争の激しい市場: 沖縄の民泊市場は既に多くの事業者が参入しており、競争が激しい状態です。差別化が成功の鍵となります。
- 法規制の理解: 民泊新法、旅館業法、特区民泊など、様々な法律や条例が存在します。特に、沖縄県独自の条例については、営業可能な期間や場所が制限されているため、事前の確認が必要です。
- 資金調達: 物件取得費、リフォーム費、設備費など、初期費用は高額になる可能性があります。日本政策金融公庫などの支援策も検討しましょう。
- 集客戦略: Airbnbなどの旅行サイトへの登録は必須です。競合との差別化のため、独自のサービスや魅力的な宿泊プランを企画することが重要です。
- ランニングコスト: 電気代、水道代、清掃費用など、継続的な費用がかかります。沖縄の気候特性を考慮し、特に冷暖房費については十分な予算を確保しておきましょう。
本記事が皆様の事業所運営の参考になれば幸いです。